『レンタルマギカ ~魔法使い貸します!』 感想&紹介

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三田誠先生の代表作品

 『レンタルマギカ』は角川スニーカー文庫より刊行されていた作品です。2004年から2013年までに間に全24巻が刊行されました。著書は三田誠氏です。三田誠氏といえば、現在ですと、TYPE-MOON BOOKSの『ロード・エルメロイII世の事件簿』を書かれています。

 『レンタルマギカ』は長期のシリーズであり、巻数が20巻を越えているにも関わらず、最後までダレずに最後まで読むことができた作品でした。世界観や登場人物を含めて、私のお気に入りの作品の一つですね。

 最終巻が刊行されてから三年ほど経過しており、本屋さんではなかなか置いていない状況になっていますが、現在では電子書籍化という新しい時代になっているので、当然この作品もそれを通して入手可能です。なので、気に入っていた作品はどんどん紹介していきたいと思います。

 まずは第一巻である『レンタルマギカ~魔法使い貸します!』の紹介です。

魔法使い派遣会社「アストラル」

 主人公は伊庭いつき。彼が「アストラル」という名の魔法使い派遣会社の二代目の社長に就任するあたりから、物語は始まります。
 社長といっても、本人は高校生。先代の社長である父親が失踪したことで、その跡を半ば強引に継がされるわけになるんですね。本人はいたって平凡であり、魔法などとは縁が無いような主人公なのですが、呪力を見ることができる魔眼である「妖精眼(グラムサイト)」を持っていることで、数奇な運命に巻き込まれていくわけです。

魔法の設定にオリジナリティあり

 この『レンタルマギカ』の世界観には当然タイトルが示すように「魔法」が出てくるわけですが、世界中の魔法を扱っているところに特徴があります。神道まで魔法の一系統になっているわけですね。とにかくこれまでに聞いたことがあるなー、というようなそれっぽいものは、ことごとく魔法になっています。
 個人的にはこの発想は大変気に入りました。結果的にフィクションであったとしても、現実に由来のあるものを使っているというのは、何となく深みがあるような気がするからです。完全創作だと、ある程度の深みを持たせるためには相当に設定を考え込まなくてはいけませんから、お手軽である反面、なかなか難しい。
 巻が進むたびに色んな系統の魔法が出てくるのも、この物語の醍醐味です。

ヒロインにも魅力あり!

 一巻ではいつきが社長になったばかりの「アストラル」と、魔術結社「ゲーティア」との、ある仕事の競争入札をきっかけにした、物語展開となっています。しかし互助組織である「協会」の格付けがAAAランクの「ゲーティア」が、わざわざ極東の島国の仕事に対して入札したのには秘密があり、その競争の過程の中で、首領であるアディリシアとのボーイ・ミーツ・ガール的な展開も描かれます。

 『レンタルマギカ』にはヒロインが二人いるわけですが、流れと展開からしても、穂波よりもアディリシアの方が読んでいてヒロインらしさ、を感じてしまうんですね。これはまあ、読者によって個人差があるので、一概にはいえませんが。ともあれ私はアディリシア押しですね。はい。

ソロモンについて

 ここでアディリシアが使う「ソロモン魔術」や「ゲーティア」という名称ですが、もちろん由縁があります。
 ソロモンというのは旧約聖書に登場する人物で、紀元前10世紀頃に実在した古代イスラエルの三代目の王です。ちなみに父親はダビデといい、歴史は知らずとも、ミケランジェロの代表作であるピエタと共に、ダビデ像として有名ですね。その息子がソロモンです。

 作中で出てくるソロモン72の魔神は、旧約聖書には記載が無いものの、旧約偽典やグノーシス文書にソロモンと悪霊に関する記述が散見されており、現在に伝わる伝承はそれらが元になっているようです。

 またゲーティアに関しては、グリモワール(魔術、魔法書の類のこと)の一つである『レメゲトン』の第一部の表題です。『レメゲトン』は『ソロモンの小さな鍵』とも呼ばれており、ソロモン由来の魔法書なわけですね。ソロモンが使役したという72の悪魔についても、ここに記載されています。ちなみに「ゲーティア」とは呪術や妖術を意味するそうです。

 しかし雑学とはいえ、勉強になりますねえ……。