オークの起源

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 今回は架空の生物であるオークについて。『転生したらスライムだった件』の第二巻では、物語の中心となる種族です。

 この種族に関しても、以前の記事で書いたスライム同様、意外に歴史が浅かったりします。その姿形は人間とほぼ同じ大きさで、しかし醜く汚らわしい存在として描かれることが多いですね。ついでにいえば、豚のような顔をしていることがほとんどです。『転スラ』でも「豚頭族」と表記されています。

 歴史が浅い、と書きましたが、これは古代の神話や伝承まで、その出自を遡らないからです。このオークを架空の生物として創造したのはJ・R・R・トールキンであり、著書である『指輪物語』の中では固有名詞として扱われています。これ以降、ゲーム作品やファンタジー作品で登場するようになったようです。


 ちなみに『指輪物語』の作中では、エルフ族がモルゴスによって捕らえられ、拷問などを受けて堕落した姿であるという設定になっています。つまり元はエルフだったわけですね。エルフといえば人間に似た、それでいて美しい白肌を持つ生物ですが、拷問の際の苦痛や憎悪のせいで、肌は灰色になり、鉤爪が生え、醜い姿になったようです。

 ただトールキンの中に容姿に豚を示すような描写は無く、それでも豚に似たイメージがあるのは、アイルランド語のorcが豚という意味を偶然もっていたことに起因するようです。
 このようにトールキンによって創造されたオークですが、その名の由来は『ベオウルフ』にあるとされています。『ベオウルフ』とはデンマーク(デネ)を舞台とした、勇士ベオウルフがグレンデルやドラゴンを退治するといった英雄譚で、最古のゲルマン諸語の叙事詩です。これはファンタジーの源流ともいえる内容を持っており、その研究者の中にトールキンがいたわけで、『指輪物語』などへの影響はよく指摘されているとのこと。

 この中に出てくるグレンデルに種族について「オーク・ナス」という記述があり、これは「オルクスの死人」という意味であるが、トールキンはここからオークの名前をとったようです。ただしグレンデルとトールキンのオークの描写はかなり相違があり、トールキン自身、この名前を使ったのは音声学的に適していたからに過ぎないと、書簡で述べているとか。音声学的って何なのやらと思いましたが、要は聞こえが良かったのだろうと自分なりに解釈しました。

 私もよく過去の神話や伝承から名前を拝借することがありますし、よく見かける光景ではあります。そうなると逆に、この固有名詞はもしかして過去の何か逸話に由来するものでは? と思って調べ、過去の作品に触れる機会になったりと、その一つの小説では収まらないところが、また面白いところですね。

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