九曜楓

九曜楓


名前:九曜楓(くよう かえで)
種:人間
時代:現代
血縁者:司(父)・菫(母)・茜(妹)・夕貴(弟)・豪(祖父)
地域:日本
出典:『悠遠ノ絲』『終ノ刻印』『銀ノ鏡界』『蒼赫ノ王』

千絲ノ封の守護者

 『悠遠ノ絲』の正ヒロイン。
 西日本における対異端の名家、九曜家の長女。茜の姉である。

 『黎明ノ王』よりちょうど千年の時が経ち、かねてより危惧されていた死神の封印が自然消滅しようとしていた。それを防ぐため、かつてラルティーヌ家より死神を託されていた九曜家は、千絲ノ封の還元によってその効力を伸ばそうと試みる。楓はその還元の対象となった人物の守護者となるよう生前から定められ、そのために準備されてきた子供であった。結果、千絲ノ封を身に受けて生まれた和泉裄也と同日同刻をもって、生を受けることになる。

 その事実を知らされなかった裄也とは違って、楓は裄也の守護者として生きるように定められ、また育てられた。そのため彼女は裄也を非常に意識して、特別な感情を抱くようになる。しかし彼はそんなことは露知らず、元々縁の切れ掛かっていた和泉家の者だったということもあり、やがて九曜家から去ってしまう。このことは楓を非常に傷つけたが、彼女は黙って耐え、不器用ながらも裄也を見守るようになった。そんな彼女に変化が訪れたのは、死神であるイリスが復活してからである。

ネレアの転生体

 千絲ノ封の還元という非常手段をとったせいか、封印されてより千年が経過したことで、不完全ながらもイリスは復活を果たす。こうなる時を待っていたかつてのアトラ・ハシースであるネレア・ラルティーヌは、千絲ノ封が完成されたその直後、まるで呪いをかけるかのように自らの魂を封印に絡めたのである。そのため封印が還元されるにあたり、その場にいた最も適した肉体に憑依できるよう、予め仕組んでもいた。その白羽の矢が立てられたのが、その瞬間に生まれようとしていた楓であり、また彼女はラルティーヌ家と混血した九曜の直系であったため、ネレアの魂は迷わずに彼女を選んだのである。

 魂に憑依されたとはいえ、千年という歳月の中でその意識はほぼ死んでいた。彼女に伝わったのはネレアの知識と力、そして記憶だったのである。楓はネレアの力を受け継ぎながらも自身の意識の方が勝っていたため、あくまで九曜楓として成長していく。その上でネレアの知識や力も躊躇無く利用し、その力は瞬く間に九曜随一となっていった。しかしイリスが復活したことにより、ネレアの意識が活性化してしまう。その恨み、妬みに突き動かされて、執拗にイリスを狙うようになった。

死神との対決

 イリスが自分の封印を担う裄也と接触するのとほぼ同時に、楓も裄也に再び接するようになる。幼い時より特別な相手であると思い、またそのことを嬉しく感じていた楓は、そんな彼がイリスに奪われそうになることを、かつてのネレアの記憶とだぶらせてしまっていた。より激しく活性化するネレアの憎悪を抑えることもできず、楓はイリスと交戦し、未だ仮初として不安定な復活しか遂げていなかったイリスを消滅させることに成功した。しかしその際にイリスの存在否定の力は楓の中のネレアに及び、その妄執から解き放たれることになる。

 この時に否定されたネレアの妄執は、完全に消滅したわけではなかった。正しくは、あくまで楓の外へと弾かれただけであったのである。それでもその妄執は、放っておけば消えていく運命だったのかもしれない。しかしそれを拾うものが現れる。適性としては九曜の人間が最適であったが、楓の妹である茜にはすでに別のものが取り憑いており不可能であった。だがもう一人、遺伝的には楓と茜の実弟といってほぼ差し支えのない存在がおり、またその人物は自ら望んで力を求めていたのである。

 ネレアの妄執は受け継がれていったものの、少なくとも楓自身はその妄念から解放されることになった。その後は裄也を通して、復活したイリスと和解。イリスに仕える凛との仲は決して良くないが、微妙な距離感を保つことができている。

妹への愛情

 楓自身が認めるほど特別な感情を抱いている相手は裄也に他ならないが、それをもう一人挙げるとすれば、それは実の妹のだといえるだろう。両親を初め、身内にすら冷めた感情をみせる楓が唯一、肉親で気にかけている存在が茜であるといえる。実際には気にかけるというレベルではなくて、溺愛しているといった方が正確だろう。ところが楓の生来の性格なのか、その接し方は実に不器用なものだった。幼い頃より常に厳しく冷たい態度をとってきたため、姉妹喧嘩は絶えることなく、しかも結果はいつも圧倒的な実力差で茜を叩きのめすというものだった。それは楓の愛情の裏返しでもあったのであるが、そんな過去の経緯から茜は楓に対し、苦手意識を持つようになってしまう。

 ついに茜は九曜家を飛び出し、アトラ・ハシースへと向かった妹に対して楓はその気持ちを慮ると、ラゼル・レーゼンを通して便宜を図るなど、見えないところで助力した。やがて茜は戻ってきたものの、思っていた以上に成長して帰ってきた妹の姿に楓は密かに満足していたのだが、大きな不満を抱えるようにもなる。それはイリスの存在である。どういうわけかイリスは茜を気に入り、彼女自身不器用にも関わらず、茜に対してのみは遠慮無く好意を全開にして接する姿を見て、それこそ楓は歯噛みする思いだった。本当ならば自分がやりたかったことを、ことごとくイリスに先を越されてしまったからである。裄也といい茜といい、楓が特別だと思う存在をことごとくさらっていこうとするイリスは彼女にとってまさに天敵で、千年前のネレアのことからしても、どうしようもなく因縁深い相手なのだった。

ベファーリアとの再会

 京都の大学へと進学した楓だったが、その在学中、一人の少女と再会する。再会という表現は適当ではないかもしれないが、かつてのネレアの記憶の中に登場するベファーリアという少女が、彼女の前に現れたのだった。楓のことをネレアだと認識していたベファーリアは、かつてのように慕い、純粋な好意をぶつけてきた。一度はそれを拒否したことでベファーリアに刃を震わせてしまい、重傷の身となった楓は、その身を捕らわれることになる。その時は茜やイリスによって助け出され、九死に一生を得た。

 これら鏡界事件や八家の擾乱後、楓は正式に九曜家当主となる。

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