イリス・ゼフィリアード

イリス・ゼフィリアード


名前:イリス・ゼフィリアード
種:観測者
時代:10世紀以降
血縁者:フォルセスカ(父)・レネスティア(母)
地域:トルメスト、アジェステリア、日本
出典:『黎明ノ王』『悠遠ノ絲』『終ノ刻印』『銀ノ鏡界』『蒼赫ノ王』

悪魔と魔王の子

 『悠遠ノ絲』における正ヒロイン。千年前、死神として生を受ける。フォルセスカ・ゼフィリアードとレネスティア・ミルセナルディスが親であるが、本人は気づいてはいない。レネスティアにいたっては、その存在すら知ってはいない。

 西暦902年、生誕。出身は旧ゼルディア公爵領ゼル・ゼデス。現在はトルメスト大公国ゼル・ゼデスに当たる。

 生まれてすぐに、エクセリアによってその身を奪われ、アトラ・ハシースで育てられる。十年間、フォルセスカの親友だったアルゼス・ラルティーヌによって秘密裏に育てられるが、ブラフト・ダーン異端裁定において、初めて戦場に赴く。そこでフォルセスカと再会。しかし彼が誰であるのか分からぬまま、彼女は封印されるまでの間、彼のことで思い悩むこととなる。

黎明の百年

 翌年のドゥーク・ロー・ブライゼン異端裁定において重傷を負い、また精神的な不安定さから、僧会軍もろとも戦場の者を壊滅させてしまう。以降、アルゼスの手を離れ、彼の腹心であったディアン・コレリアと共に行動するようになる。

 その後、ゼル・ゼデス異端裁定にてプラキアと対峙し、禁咒の知識の一端を知った後、数多くの禁咒法を考案し、アトラ・ハシースに残すことになる。死神の鎌に施された原理崩壊式も、その一つである。

 禁咒だけにとどまらず、存在否定や動の支配といった、観測者としての力にも徐々に目覚めていき、死神として恐れられていく。しかし実力的にも上回っているにも関わらず、フォルセスカをついに殺すことはできなかった。

 最後はフォルセスカと戦うこと自体を放棄し、僧会によって投獄。彼を殺さなくてもいいことを条件に、千絲ノ封によって封印されることを誓約してしまう。結果、彼女の目の前でフォルセスカは死亡。千年後に目覚めることになるが、このことが原因で、アトラ・ハシースを明確に恨むようになる。

ネレアとの確執

 他者に対して希薄な感情しかみせなかったイリスが、唯一際立った感情を見せた相手が、フォルセスカとネレアである。敵と教えられながら、複雑な感情を抱き、ついには殺すことのできなかったフォルセスカに対しては、肉親ということもあり、本能的に感じるものがあったのかもしれない。しかし彼とは全く対照的な感情を抱くことになってしまうのだ、ネレアだった。

 イリスが生きた最初の百年の間、彼女が気を許した相手はフォルセスカ以外には二人いた。一人はアルゼスであり、育ての親である。もう一人はディアンであり、彼女に世俗を初めとするあらゆることを教えた、いわば先生のような存在だった。この頃にはイリスも精神的に成長しており、ディアンに対して他では見せないような好意を見せるようになっていったのは事実である。その証拠にディアンはイリスの認識力を強く身に受け、若さを保ったまま長命を維持することになるが、それを異端の技とされ、晩年ネレアに処刑されることになる。それを止めることもできずに見守ることしかできなかったイリスは、ネレアに対して明確な嫌悪を抱くようになり、それはフォルセスカが死ぬまでの間に肥大していくことになった。

 同じアトラ・ハシースという味方でありながら、憎悪を抱くようになった相手。ネレアとの確執は、千年後の未来まで続くことになる。

千絲ノ封

 千年後、イリスは目覚めたものの、その場に自分の身体は無かった。彼女の身体は封印されてから数百年後に、イエズス会を利用したラルティーヌ家によって日本に移送されてしまっていたのである。イリスは自分を慕って現れたレダを配下にすることを許し、自分の身体を求めて共に日本へと渡った。そしてそこで、まだ完全に解けていない千絲ノ封の一糸を担う少年、和泉裄也と出会う。

 この時彼女の身体は己の強い認識力で具現した、仮初の状態にすぎず、それを消滅させようとする九曜楓と交戦。楓はかつてのネレアの転生体とでもいうべき存在であり、当初はその存在を敵視していたが、やがて裄也の説得に応じることになる。裄也の協力もあったが、楓と交戦し、結局はその仮初の身を失うことになった。

 しかしその後裄也が千絲ノ封を支配したことで、彼女の封印はほぼ完全に解けることとなり、一年後に彼と再会を果たした。楓ともぎこちないながらも和解し、その後は裄也の大学入学についていき、京都で生活するようになる。

 『悠遠ノ絲』では、再びフォルセスカと出会うこととなった。

歪んだ死神

 イリスはある意味“歪んだ死神”である。フォルセスカという因子のせいで、人間と同じように成長という過程を通して観測者としての力を身に付けていくことになった。そのため現代においてもなお、その存在は未熟である。にも関わらずその存在力は母親であるレネスティアやエクセリアを凌駕しつつあり、普段はその存在力の大半を裄也の千絲封によって封じてもらっているほどである。

 そんな風に意図したレネスティアの思惑通りに成長しているイリスであったが、死神でありながら死神でない彼女の存在の反作用として、後にサナトという“造られた死神”が、より純粋な死神としての思考と共に生まれてしまうことになる。

 とても一途で純粋な性格をしているせいもあって、千年たった今も、未だ幼い部分が多い。そのせいで、酷く残酷なことも平然とやってのける。不器用な面も多く、最も優先されること以外、簡単に切り捨ててしまう。その典型が凛ルートでのイリスである。が、その割り切りの良さで、楓とも和解できたともいえる。

 また死神という名に相応しく、何かを殺す、壊すという自身の行為を本能的に好いており、基本的に抵抗を感じてはいない。むしろ積極的に行いかねないくらいであるが、少なくとも現代においてはそれを行ってはいない。フォルセスカという因子が彼女の理性をより強固にしており、エクセリアやレネスティアに比べて本能に抗いやすいことや、裄也の言葉をなるべく最優先にと考えていることが、その原因である。しかしそれが必要だと思えば、例え裄也の前であっても対象の存在の抹殺に対して躊躇うことはなかった。ある意味究極的には自分の意思を最優先させており、千年前にはほとんど他人の意思によって行動してきたことを考えれば、大きく成長したともいえるだろう。

 かつてフォルセスカに対してできなかった反動からか、同じ魂を持つ裄也に対しては無償の愛情をもって接している。そんな彼とは別に、彼女が特にお気に入りなのが楓の妹である茜で、これは茜自身が戸惑うほどの好意の向けようだった。

 また白いものが大好きで、白い花とソフトクリームがお気に入りである。しかし一方で自分に白は似合わないと思い込んでおり、普段彼女が身に付けるものは決まって黒か、色の濃いものばかりである。

 実は自分の背が低いことを気にしており、初めて茜と出会った時は自分の方が背が高かったのに、数年で追い越されてしまったことに、少々不満があるらしい。そんな折に自分より背の低いエクセリアと知り合い、少し気を良くしているとか。しかしエクセリアは自由に容姿を変えられることを知らず、まさに知らぬが仏、である。

 基本的に怖いものは何もないが、唯一アルティージェを苦手としており、ある意味天敵である。

 いつも無関心そうな顔をしているが、実はどんなことにでも興味があり、知識欲の塊。これは観測者の本能であるらしい。いつもはどこか本のあるところで、何かしらの本を読んでいる。

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