ibisノベル 用語大辞典 さ行

さ行

最遠寺 要(人名)

 定の妹。最遠寺での後継者問題で、定が自分の代わりと推している。京都に移り住み、茜の元で修行することになった。録洋台高校へと編入しつつ、柴城興信所の所員の一人として仕事の見習いをしている。録洋台の生徒会から持ちかけられた依頼を受け、幽霊騒ぎの原因であった聖と戦い、辛うじて勝つことができたことで解決する。
 根は真面目で努力家。最遠寺の直系でありながら才能に恵まれていなかったが、一途に努力する姿に茜は好意を抱いており、真摯になって付き合ってくれている。しかし教え方は彼女流のスパルタで、幾度と無く涙を流す羽目になった。兄の定に対して敬愛以上の感情を持っており、そのことを公言してはばからない。

最遠寺家(用語)

 九曜家と同格にある、対異端組織の名家。元は京に都があった頃、その鬼門に位置する場所に寺として守ってきたが、東京遷都に伴い、関東へと本拠を移動した。西の九曜と並び称されており、東の最遠寺とも呼ばれる。

最遠寺 定(人名)

  →柴城定。

最遠寺 泪(人名)

 時期最遠寺当主と目されていた人物。定の従兄妹。
 長らく現最遠寺当主には子供がなかったが、彼女が生まれたことで後継者問題に、一応の片がついた。
 しかし彼女は、エルオードによって意図的に生み出されたシャルティオーネの生まれ変わりであり、その目的はかつて自分を滅ぼしたアルティージェへの復讐であった。泪はエルオードの協力の元、アトラ・ハシースのザインや、従兄妹の定など能力の高い者に目をつけ、仲間を増やしていく。しかし定に対してのみ失敗し、それに気づかなかったことで、泪はいったんイリスと楓に滅ぼされることになる。その後復活するが、由羅との死闘の果て、今度こそ完膚なきまでに滅ぼされることになるのだった。

最遠寺 葉

 最遠寺当主の妻であり、泪の母親。
 エルオードが、過去の妄執を植え付けるにあたって、最初に実験台として選んだ人物。彼女はラスティラージュを植え付けられ、その後泪を出産して死亡した。

最遠寺 黎(人名)

 ジュリィ・ミルセナルディスの偽名。
 義妹であるユラスティーグを原因に最愛の兄を亡くしたことで、現代に至るまでその復讐を目的に生きた。
 アトラ・ハシースの創設者の一人で、序列第一位。

採魂の鎌(用語)

  →タルキュートス。

ザイン・ローレッド(人名)

 アトラ・ハシースのマスター。
 組織においては優秀な咒法士であり、同じアトラ・ハシースに所属している茜とも面識がある。ギルスが画策していたD計画の捜査にも当たっていた。若い頃に異端者を相手に負傷し、片腕を失っている。義手はエルオードが用意したもので、そのため彼に恩義を感じており、後にそれを利用されることになる。彼は信心深い人物であったが、その能力の高さに目をつけたエルオードによって、過去のオルディードの妄執を植え付けられてしまう。しかし本人の意思が強かったせいか、うまく定着しなかった。そこでエルオードはザインと同じ能力を備えた人形を作り、再度そこに定着させ、成功する。同じく過去の妄執を植え付けられた泪と共に行動し、アルティージェへの復讐を果たすことを目的とした。オルディオンを手にしたザインの強さは、茜ですら及ばぬほどのものであったが、イリスを相手に敗北。完全にその身を否定され、塵と消えた。オルディードの定着は人形に対して行われたため、ザイン本人は存命している。

坂貫幸造(人名)

 本名、黄利潔。九曜司によって家族が皆殺しに遭った際に、双子の姉妹以外では唯一逃れることができた人物。彼は当時その事実を知らないまま、姉の巴と共に紫堂家に身をよせることになった。この時点で黄利の名前を使うことに危険を感じ、改名している。しかし再び司によって紫堂家が滅ぼされると、本家に対する疑念が生まれ、独自に調査を開始する。黄利家は他の八家の中では比較的濃い血統を遺しており、充分な才能はあったため、その実力を背景に華賀根家に接近し、やがて大阪にある事務所の一つを任されるようになった。
 坂貫探偵事務所を開設した後、さらに本家についての調査を進めていく。そこに接触してきたのが、姉の忘れ形見であった紫堂夕貴だった。事情を全て知り、彼は夕貴に協力することを約束する。九曜でのクーデターでは暗躍し、華賀根を煽って反旗を翻させる一方で成功しないようにわざと計画を杜撰にし、最終的に失敗に導くことに成功した。それによって九曜は混乱し、当主であった司は失脚。その隙に夕貴を時期当主として擁立させることが、彼の目的だったのである。
 戦闘スタイルは攻には銃を使い、防には咒法を用いるもの。咒法は特に結界咒が得意である。蓮にとっての師であり、彼女はそれなりに好意を抱いていたようだったが、彼にしてみれば憎むべき九曜一門の一人にすぎず、彼女個人に対して憎悪こそないものの、特定の感情は抱いていない。

坂貫探偵事務所(用語)

 大阪に九曜の支所の一つ。華賀根の息のかかった支所で、所長は坂貫幸造。坂貫個人の能力の高さと事務所の活躍振りを買われて、華賀根本家の長女である蓮が、期間限定ではあるが所属していた。しかし夕貴の策略の一環として、聖と虚像の由羅の襲撃に遭い、所員は惨殺されてしまう。その場に飛び込んできた蓮と樹は、聖と由羅と交戦するが、敵わずとみて離脱。その際に火を放ったため、事務所は焼失した。

左崎 凛(人名)

 レダ・エルネレイスの異名。日本で活動する際の名として、イリスにつけてもらった。基本的に人間には凛と呼ばせ、イリスにはレダと呼んでもらっている。最後の千年ドラゴンであり、イリスの最も信頼の厚い、臣下。

サザン・ディーネスカ(人名)

 シュレストの末裔を自称し、ディーネスカの姓を名乗ってコルセシアに覇を唱えた。実際に彼がディーネスカの血を引いていたかは不明。引いていたとしても、同時代のロノスティカがそうであったように、すでにその血統は薄れていたはずで、魔族を名乗るには力不足だったと思われる。ディーネスカの正当な後継者を自負するトルメストと長く争い、トルメストが疲弊する原因となった。
 サザンの野心は旺盛でコルセシアの東部全域を支配し、全土を席巻する勢いであったが、トルメストの強硬な抵抗に遭って中央、及び西部への進出を一時的に諦めて、南下策をとる。これがクリセニアとの戦争となったいわゆるバルニア侵略戦争である。この戦争の中、主に前線にて戦ったプラキアによって討ち取られ、死亡した。

サナト・ゼフィリアード(人名)

 D計画によって生み出された人工的な死神。イリスの体細胞をベースに、クェイガの細胞を融合して生み出された。外見はまるでクローンのようにイリスと瓜二つであるが、観測者の証である紅眼は右目のみで、左目はクェイガのものを受け継いでおり、オッドアイになっている。また性別もイリスとは異なる。自分の生みの親であるギルスを殺害後、クェイガと共にシャラ=イスタを出て姿をくらませた。その後、鏡界事件を引き起こすことになる。

サルバドール・マルダ(人名)

三鬼将(用語)

 千年前、京の都を席巻しようとしていた三体の鬼の呼称。それぞれ“鬼梗”“鬼燈”“鬼龍”の三人で、“鬼梗”が首領格であった。北の地が発祥で、都に侵攻する途中、国家鎮護のための数多の組織と争い、これを滅ぼしていく。北陸道に至ったところで九曜家と交戦になり、膠着状態となった。それでも優勢だった三鬼将であったが、やがて鬼燈と鬼龍の裏切りに遭い、鬼梗は滅ぶことになる。

三大禁咒(用語)

 エクセリアの双鏡禁咒、レネスティアの千年禁咒、そしてイリスの原理崩壊式咒の三つの大禁咒をさす。

ジークリンデ・レアトリクス(人名)

 アトラ・ハシースのマスター。枢機会議のメンバーでもあり、その中では唯一の女性。
 祖母であるアンネがアルティージェに挑み、レアトリクスの一族は全て滅ぼされたが、その際唯一生き残った人物でもある。当時赤子で身寄りも無かったが、エルオードによって育てられた。全ての経緯を知った上でエルオードに仕え、成人と同時にその身を人形として造り替えられている。エルオードに対して絶対的な忠誠を誓っており、現代に至るまでアトラ・ハシースでの彼の手足となって行動している。

ジェセシス・ラインヴァルド(人名)

 トルメスト大公国の大公。エザリアの父親。

絲魂(用語)

 千絲ノ封を構成する糸の名称。魂の糸。裄也はこれを攻守両方に使っており、またその半数はイリスの封印のためにその魂をある程度拘束している。一方でイリスにも使うことができるのだが、基本的に裄也の了承なくては触れようとはしない。

死裁の銃身(用語)

  →ゼオラルーン。

紫堂家(用語)

 黄利家の分家であり、九曜一門の一つ。九曜の影の部分を扱ってきた黄利同様、紫堂もその任にあった。特に黄利が滅んでからは、その中心的役割を担うようになる。九曜司の命により鬼燈家の一族暗殺を行ったが、その際の聖の反撃で夕貴の母親と兄が死亡し、父親は彼女との相打ちに近い形で重傷を負った。その後聖の復讐によって紫堂家は襲撃に遭い、夕貴以外の全てが彼女によって殺され、滅んだ。

紫堂 巴(人名)

 紫堂昌貴の妻。旧姓は黄利。実家である黄利家が何者かによって根絶やしにされた際、保護を申し出てきた宗家の司の言葉を拒絶し、弟の潔と共に放浪することになる。それを助けたのが紫堂昌貴だった。やがて二人は結婚し、二児を出産。しかし次男である夕貴は昌貴の実の息子ではなく、司の子供だった。その後鬼燈襲撃に参加し、反撃に出た聖によって殺害された。
 菫とは一卵性双生児で、左右対称の特徴をもったミラー・ツインだった。

紫堂昌貴(人名)

 紫堂家当主。夕貴の父親であるが、血の繋がりは無い。当代きっての暗殺者であったが、鬼燈襲撃の際に聖と死闘を演じ、これを撃退するものの仕留めることは敵わず、自身重傷を負うことになった。後に聖によって襲撃され、再戦するものの受けた傷はほとんど癒えておらず、一矢報いるものの惨殺された。黄利滅亡について司の仕業であるとある程度掴んでいたが、糾弾することもできずにせめてと巴を保護していた。死ぬ前夜に夕貴に自分の推測を告げている。

紫堂夕貴(人名)

 紫堂家の次男。鬼燈襲撃に際に母親と兄を失い、その後父親を失っている。聖の襲撃の前に、昌貴より自分とは血の繋がりのないこと、黄利の滅亡に九曜司が関わっているかもしれないことを教えられていた。紫堂家が滅亡後は聖と共に京都の襟宮家に身を寄せ、学生生活を装いながら復讐の機会を窺っていた。本当に父親は司であり、楓、茜とは従姉弟にあたるが、それぞれの母親が一卵性双生児だったため、遺伝的には実弟と変わらない。

品川 愛(人名)

 録洋台高校2年3組の生徒で、要のクラスメイト。

死神(用語)

 存在否定の力を操る観測者であるイリスに対する別称。イリスの出生にあたり、それを予知していたエクセリアによって、死神の予言としてアトラ・ハシースに伝わったことと、彼女を直接育てたアルゼスがイリスを死神として扱ったことで、自他ともにそう認める存在になった。

死神の鎌(用語)

  →タルキュートス。

柴城 定(人名)

 柴城興信所の所長。真斗の雇い主である。泪の一件以来、最遠寺の後継者問題のため、興信所を茜に任せて実家に戻っている。シュレストの記憶と力の一部を宿しており、アルティージェにとっては特別な相手。

渋沢 彰(人名)

 真斗の通う大学の友人。

シャクティオン(用語)

 最後に生まれたアルティージェのために、シュレストが作った最高傑作の一つ。元々はナウゼルに与えられるはずだった。降魔九天の剣。剣という名前と形状をしているが、槍のように長く、斧よりも遥かに重い。十魔の武器の中で初期の傑作であるアクティオンと似て非なる能力があり、他者にはまったく頼ることのできない反面、自身の力次第では限度無く成長させることのできる武器。しかしその成長した力は、成長させた本人しか扱えない。

シャラ=イスタ(用語)

 アジェステリア公国にある製薬会社。民営ということになっているが、出資したのはウトナピシュティムというアトラ・ハシースの特殊法人であり、設立には僧会の存在があった。新たな資金源のために、クリストフ・アーレストによって提言され認められ、設立された経緯がある。現在でもアーレスト家はシャラ=イスタの大株主であり、その経営に深く携わっている。実際にはD計画のために用意された研究施設で、アトラ・ハシースにとっては灯台下暗しだった。

シャラ=イスタ事件(用語)

 アトラ・ハシースのマスターであるギルス・ラーバーが中心となって進めていたD計画が明るみになった一連の騒動。研究所より被験体が脱走したことで多発した殺人事件について、リーゼ・クリストとシャレム・アーレストが調査を始めたのが発端であるが、一方でマスターであるザインは、独自に内部調査を行ってもいた。殺人事件とシャラ=イスタの関連性が分かった時点でザインは二人に調査の中止を命じたが、それを無視して二人はシャラ=イスタに潜入する。途中、社員として潜り込んでいたエルオードの助力もあり、潜入に成功。ギルスと対峙し、真相を知ることになる。

シャルティオーネ・ディーネスカ(人名)

 シュレストの第四子にして、長女。兄弟姉妹の中では最も咒に秀でており、数々の高等な咒法を考案している。シュレストも彼女の利点を生かせるよう、ヘルシオンという咒力増幅作用のある武器を、自ら作って授けた。狡知、奸知に長けており、継承戦争が始まるとまずラスティラージュとアルティージェを戦わせ、またナウゼルにラウジェルを攻め滅ぼすように仕向け、自分はオルディードと協力してゼルベルートを滅ぼした。彼女が最初の一手で唯一手を出せなかったのがメルティアーナで、これがこの後彼女にとって大きな誤算になる。元々ナウゼルの次に後継者候補として評されていたメルティアーナのことは得意ではなく、姉でありながら苦手意識を持っていた。のちにアルティージェと戦うことになるが、彼女が直接対決したのはメルティアーナで、互いに主軍を預かり神算鬼謀を尽くした戦術戦となり、最終的にシャルティオーネは敗北する。その後アルティージェによって処刑された。この時に残留した妄執をエルオードは回収し、最遠寺葉に生ませた子供に植え付け、復活させることになる。

シャレム・アーレスト(人名)

 アーレスト伯家の令嬢であり、アトラ・ハシース。ウルクスの妹。典型的な貴族でお嬢様。しかしそんな彼女の地位にまるで無関心なリーゼのことが不満である反面、気になる存在でもあった。D計画の一つとして、祖父によってネレアの書の破片を埋め込まれて育った。

咒法(用語)

 魔法じみた力のこと。世界に対して“風邪”のような症状を及ぼす呪いの総称。地域や場所によって様々なものが発案されており、その数も多い。

ジュリィ・ミルセナルディス(人名)

  →最遠寺黎。

ジュリオン市国(用語)

 アジェステリアの内乱時に、宗教自治都市であったジュリオンが離反し、独立した。アトラ・ハシースの本拠があり、僧会の総本山でもある。その独立は内乱時に異端の末裔であるトルメストに併呑されるのを防ぐため、あえて第三者となり、内乱の収拾を図るものだった。実際ジュリォンの仲裁により、アジェステリアとトルメストは和睦し、後のアジェステリア連邦への橋渡しを果たしている。しかしトルメストとは反目しており、水面下ではお互いに牽制もしている。
 独立しているとはいえ、その政治体系はほぼアジェステリア公国と同じで、国家の財政もその大半を公国に依存している。

シュレスト・ディーネスカ(人名)

 二人目の魔王。歴代の王の中で最強と謳われる。自らの領土が混乱し、分裂し、実の子共を初めとして多数の犠牲者が出ることを承知で継承戦争を行わせた。

硝魔八凶の斧(用語)

  →イクティオン。

召喚咒(用語)

 継承戦争終結後にアルティージェが特に功のあった臣下に対して与えたもの。アルティージェの召喚咒とも呼ばれる。ディーネスカの紋章を元としており、アルティージェ自身が新たに作ったものである。彼女はこれを自らに刻印しており、召喚咒を使用すれば半ば強制的にでもアルティージェを呼び出すことができた。何名かの臣下に与えられたが、現存するものはラインヴァルド家に伝わる召喚咒のみ。またこれが実際に使用したのは、ヨハン・ラインヴァルドが最初である。
 この召喚咒はラインヴァルドの血筋の者しか扱えないはずであったが、後に桐生契斗が改変し、アルティージェを呼び出すことに成功している。

ジョーゼス・ラルティーヌ(人名)

 アルゼスの実子。父親のような野心は無かったものの、持ち前の世渡りの上手さで僧会内の荒波を渡り、最終的にはアトラ・ハシースを統括する大司教に就任する。
 父の命でバルッセオ大司教に仕えながらも、アルゼスのために働き、パルティーンの乱においては父同様、暗躍する。その後ステリア・アーレストと結ばれ、息子ライラルドをもうける。
 アルゼスの死後、大司教位を継いだのはステリアの父であるフロイス・アーレストであったが、その死後、ジョーゼスがその後を継ぐことになった。
 ディアンとは馬が合い、またアトラ・ハシース内において、イリスの良き理解者となった人物である。

ジョゼッフォ・オリヴェーロ(人名)

 シャラ=イスタ製薬の幹部の一人。アトラ・ハシースであり、ギルスの弟子であった。そのためD計画に深く関与していたといえる。しかしシャラ=イスタ事件によりギルスを失い、その後追手を逃れてアトラ・ハシースを出奔する。サナトとクェイガの手駒として使われ、ダストを使ってアトラ・ハシースを狙った事件を起こしたが、シャレムとジークリンデによって捕縛された。 

枢機会議(用語)

 アトラ・ハシースの最高意思決定機関。マスターより選出された数名のメンバーによって構成されている。ジュリィが枢機卿として積極的にアトラ・ハシースに干渉しなくなってから、エルオードの提案で設けられることになった。彼自身はメンバーではなく、彼に忠誠を誓うジークリンデがメンバーとしてある。

鈴木賢治(人名)

 録洋台生徒会メンバーの一人。庶務を担当。

スセシオン(用語)

  →千年ドラゴン。

ステリア・アーレスト(人名)

 フロイス・アーレストの第二子で、カールロスの妹。バルッセオ大司教によって父親と兄を投獄され、自身も捕えられそうになるところをアルゼスの手引きによって辛くも脱出し、その後フロイスが管轄する軍を率いてパルティーンを強襲した。実質的にパルティーンの乱の引き金になった人物である。乱の収束後、ジョーゼス・ラルティーヌと結ばれ、息子であるライラルドをもうける。

セヴラン・カーリング(人名)

 トルメストの名将。後任のルーレックがその頭角を表わすまで、トルメストの軍を預かった。コルセシア戦役以後、老齢を理由に軍を退いている。

セーブル(用語)

 アトラ・ハシースにおける階級の一つ。第七位。

ゼオラルーン(用語)

 死裁の銃身とも。イリスがタルキュートス以外で手がけたオリジナルの武器。茜のためにと作ったもので、彼女との共同制作でもある。銃の名の通り、その威力を撃ち放つことで飛び道具としての利点があるが、そのため本来ゴルディオスの武器にはあり得ない、使用者の疲労という欠点ができてしまった。茜のためにと、イリスは常に調整し、改良している。

ゼル・ゼデス異端裁定(用語)

 フォルセスカが居城として構えたゼル・ゼデス城に対する僧会の異端裁定で、第一次と第二次の二度、行われた。第一次は異端裁定凍結解除によりバルッセオ大司教の提唱により開始されたゼルディア・クリセニア戦役おいて、その局面が大きく転換した時の戦いである。戦役が始まってより連戦連敗だったゼルディア軍は、レ・ネルシスまでも陥落され、ベデゥセーウの樹海の外縁を包囲されてしまう。しかしそれはフォルセスカが三年を要して僧会軍を誘い込んだ罠で、ゼル・ゼデス城を目の前にして僧会軍は壊滅した。その後反撃に出たゼルディア軍は一気に巻き返し、クリセニアを奪還するのである。
 第二次はその十数年後、フロイス・アーレスト大司教の死後、後を継いだジョーゼス・ラルティーヌの提唱で始まる。両軍は互角に戦い、十年近く続いた戦争は、ゼル・ゼデスの陥落をもって終結した。全ては死神の存在に、異端軍が対抗し切れなかった所に敗因がある。フォルセスカはコルセシアへと逃れたが、この時の異端の犠牲は大きく、老将イグナーンや、それまでずっとフォルセスカを支えてきた宰相のプラキアを失うこととなった。

ゼル・ゼデスの魔剣(用語)

 第二次ゼル・ゼデス異端裁定において、プラキアと戦ったイリスがその禁咒に触れ、後にアレンジした禁咒。この咒の原型はシュレスト考案の“硝魔八凶の黒炎”をプラキアが自分なりに昇華させたもので、それを更にアレンジしたのが“魔剣”である。イリスにとって初めて知った禁咒であり、もっとも強力なものの一つ。現代においては茜や凛が使い手。しかし両者共にイリスが使うものには遠く及ばない。

ゼルディア・クリセニア戦役(用語)

 バルッセオ大司教の提唱により開始。当初は僧会軍の連戦連勝だったものの、ゼルディア方面においてフォルセスカがライオス・ガレリアに勝利し、その後レダ率いるゼルディア軍はコルセシアと連合して、クリセニアを次々に奪還していく。その最中に起こったパルティーンの乱によりバルッセオは失脚し、新たに大司教となったフロイスとフォルセスカの間で講和がもたれた。それまでの間、レダはディアンの守るブラフト・ダーンを攻めたが、ついに陥落させることはできなかった。講和の条件として引き渡されることになったバルッセオは、ブラフト・ダーンに到着した所をイリスによって暗殺された。この戦いの勝利により、異端はゼルディア、クリセニア、コルセシアと最大版図を誇るようになり、最盛期を迎えることになるのである。

ゼルベルート・ディーネスカ(人名)

 シュレストの第六子にして四男。
 兄姉妹の中では最も温和で、人が良かった。当初歯牙にもかけられていなかったアルティージェに対してもわけ隔てなく自然に接し、彼女もまたゼルベルートにはよく懐いていたという。
 しかし継承戦争が始まると、シャルティオーネの標的として真っ先に狙われることになる。これに対しゼルベルートは臆すことなく立ち向かい、散華する。戦下手と思われていたゼルベルートであったが、この戦いでシャルティオーネとオルディードの被った被害は少なくなかった。これによってラスティラージュと戦い疲弊したアルティージェに、態勢を立て直す時間的猶予を与えることになってしまう。これはシャルティオーネにとっては大きな誤算となった。

ゼレル・ローア(人名)

 異端者。日本における凛の協力者であったが、楓によって呪いを受け、傀儡とされた。

千絲ノ封(用語)

 禁咒。千の魂を糸となして、対象を千年の時の結界に封じ込めるもの。千人もの生贄が必要な大禁咒であるが、過去三度、行われている。一度目はエルオードがアルティージェに対して行ったものであるが、これはアルティージェが自力で跳ね除け、逆に支配することで失敗。二度目はライラルドがイリスに対して行ったもので、無抵抗だったイリスはこれによって千年間、封印されることになった。三度目はそのすぐ後に行われた、クェイガがレネスティアに対するものである。これは成功するかにみえたが、カインの妨害にあって失敗し、レネスティアは難を逃れることができた。
 封印としては完璧に近い代物であるが、千年と期間が限定されており、それを延長させるために千絲封の還元が行われた。その絲の管理人として白羽の矢を立てられたのが、和泉裄也である。後に裄也によって封印は完全に解かれるが、イリスはあえてその絲の繋がりを残したまま、自分の魂を裄也にある程度封印してもらうことによって、強すぎる存在力を抑制してもいる。しかし本当の理由は、絲魂によって裄也と繋がっていることをイリスが望んでいるからに他ならない。

千年禁咒(用語)

  →継承咒。

千年ドラゴン(用語)

 スセシオン、とも。千年禁咒によって千年間眠り続け、生まれ変わった存在。しかしこれには欠陥があり、より高次の存在に依存しなければ、己の精神を保てない。禁断症状が出た場合、自分より低次のものへの破壊衝動が激しくなり、そうすることに愉悦を覚えるようになる。結果、非常に残忍な性格に変質してしまう。
 欠陥のある千年ドラゴンであるが、その能力は非常にずば抜けている。単純な力においては、他のどんな存在をも圧倒している。また肉体的な生命力も強く、魔王以上である。そのためクリーンセスはユラスティーグに殺されている。そしてその存在力の強さゆえに、基本的に死ぬことができない。現在、純粋な千年ドラゴンは由羅と凛の二人。アルティージェもそれに近い生命力があるものの、完全な継承咒だったため、時の呪いを受けていない。そのため二人のように不死身というわけではない。またクェイガの場合は時の呪いのみが特化しており、生命力や身体能力は二人に劣るが、不死身さでは群を抜いてしまっている。

僧会(用語)

 ある宗教の一派の総称。アトラ・ハシースの温床となった。

存在否定(用語)

 イリスが死神たる所以の力。
 対象を理解し、認識すると、その存在を支配することが可能となる。その最たるものが死の支配で、その意思において対象の死の運命を確実に操ることができる。


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