「黎明ノ王」カテゴリーアーカイブ

第47話 血の洗礼

「これ、起きぬか」

 心地良い美声に、レダは目を覚ました。
 未だぼんやりとした視界には、こちらを見下ろしているプラキアの姿。

「あ、えっと……」

 相手が誰であるかも忘れて、寝ぼけた声を出してしまう。

「ふむ……。再び仕事を忘れた挙句、かような場所で居眠りとは……大した身分じゃの?」

 言葉と同時にぎゅうっと頬をつねられて、レダは悲鳴を上げて飛び起きる。
 そしてようやく事態の把握に至った。
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第46話 墓標の少女

 レダがフォルセスカと共に、ゼル・ゼデスに戻ってきたのは一週間ほど前のこと。
 案の定、帰るなりプラキアに大目玉をくらってしまった。
 思い出してみれば、確かに怒られても仕方ない。何せヴァーグラフを手懐けようと頑張っていたあの日、自分の仕事もせずに頑張りすぎて、しかもその後許しも得ずに、フォルセスカの後についていってしまったのだから。
 それからというものの、この一週間休みももらえずに、普段はやらないような仕事までさせられてくたくたになっていた。
 それでも一週間たって、プラキアもようやく許してくれる気になったらしく、今日は久しぶりに休憩時間というものを謳歌しているところである。

「お疲れ」

 声をかけられて、レダは頭だけを起こした。
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第44話 先輩と後輩

 分かってはいたことだが、やはり戦場とは酷い場所だ。
 特に、戦いの後――屍が累々と転がる様は、見慣れたくない光景である。
 勝敗としては、僧会の勝利であっただろう。
 しかし為に払った犠牲は大きく、またその後に起こった凶事により、その勝利すら意味を為さぬものになってしまった。
 その凶事を起こした張本人のことは、まあ後回しだ。
 その前に、会っておきたい相手がいる。
 もっとも生きているとも思えないが……。
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第43話 惨劇の幕開け

「何だその様は」

 本陣に戻ったイリスに向けられたのは、ベルヌークの冷めた一言だった。
 陣は荒れに荒れ、死体で埋まってしまっている。
 味方のものと、壊れた残骸に成り果てた、人形だったもの。
 どう見ても僧会の兵の屍の方が多く、アトラ・ハシースの者でさえ、かなりの数が死んでいる。

「先に出した者たちも、全滅と聞いている。お前だけが帰ってきたかと思えば、片腕を失っているとはな。これではこの先使いものにもならん」
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