カテゴリー:終ノ刻印

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  • 2017.06.18

第9話 酔い覚ましにしても

 歓迎会が始まって、二時間近く。  いつもよりやたらめったらテンションの高い東堂さんのせいもあって、適度に盛り上がってはいた。  よほど最遠寺がやってきたのが嬉しかったらしい。いい歳して、まるで子供のようなはしゃぎ様である。  で、その東堂さんはいつも以上のペースで酒を飲んだせいか、早々にダウンしてしまっていた。いかにも幸せそうな顔で、引っくり返っている。

  • 2017.06.17

第8話 次の出会い

        /由羅  私がこっそり住み着いているマンションの前で、私は降ろしてもらった。  サイズが大きかったせいか、バイクで走っていると風圧で後ろに流れて、顎のベルトで何とか止まっている状態だったヘルメット。  こんなの意味ないじゃないと言って返すと、文句言うなと言われてしまった。  ふんだ。何よ、偉そうに。 「けっこういいとこに住んでるんだな」  大きなマンションを見上げて、少し感心したよ […]

  • 2017.06.16

第7話 刻印

 彼女の左手に刻まれていた紅い刻印。  確かこれは……。  その印の意味――俺も知識としては知っていた。かつてそういった知識を習っていた九曜家に、その刻印咒があったことは覚えている。  本来ならば、決して習う類のものではない。  これは九曜家にとって、門外不出の刻印。それを俺が習えるはずもなかったが、何の偶然か、俺はそれを知ることができて。  ……そう。  ずいぶん昔のことだ。  とある奴が、俺に […]

  • 2017.06.15

第6話 由羅という名の

        /由羅  ……え?  また驚かされてしまった。  斜め前に座っている人間が振り返る――そうすれば、何らかの反応があるはずだったのに。  いや、あるにはあったのだが、どうも予想していたのと違う。  彼はきょとんとして数瞬こちらを見つめた後、さっさと渡すものだけ渡して正面を向いてしまったのである。――その後の反応は、無し。  なんで……?  またまたわけが分からなくなった。  この人間 […]

  • 2017.06.14

第5話 それぞれの目覚め

        /由羅  ――痛い。  痛くて……目が覚める。  夜明けしていくらかたったせいか、部屋の中はすでに明るかった。  いつもは殺風景な部屋。  けど今は……滅茶苦茶だった。  私が揃えた数少ない調度品が、あちこちに散らばって、中には砕けてしまっているものもある。  数時間前にここに帰ってきた私が、暴れて壊してしまったものたち。  痛くて、痛くて……どうしようもなくて。  いつの間にか眠 […]

  • 2017.06.13

第4話 幼馴染からの餞別

        /真斗  落ちこぼれ。  あまり認めたくないことではあったが、残念ながら俺はそういうレッテルを貼られてしまっていた。  俺自身は認めたつもりはなくても、周りの目は間違いなくそう言っている。  実際――自覚が無かったわけでもない。 「……相変わらず弱いな。お前」  挑んだ俺をこてんぱんにのしてくれたその少女は、後でそんなことを言ってきた。 「悪かったな。くそう」  不貞腐れたように引 […]

  • 2017.06.12

第3話 少女二人

        /由羅  私はいったい誰なのか。  目覚めたものの、ちっとも思い出すことはできなかった。  満天の星空――新月の夜に、星々はよく映える。  周囲には明かりは無く、どこまでも広がる草原と、朽ちかけた古城があるのみだ。  何の障害も無いその場所で、それらを眺めるのが好きな者ならば、恐らくいつまでも見上げていることができただろう。  でも私は、崩れ落ちた古城の瓦礫に隠れるように、身を震わ […]

  • 2017.06.11

第2話 狂気の少女

 俺が大学に入ってから約八ヶ月。  これまでに受けた仕事は、三件。どれもがまともな内容では無かった。  世の中には色々と不思議なことがあるわけだが、こと日本において魑魅魍魎、妖怪変化というものは、そういった不思議の一つである。  実在するかどうかはともかく、その存在は誰もが知識として知っている。しかし実際にそれらを目撃した者となると少なく、例えそう公言したところで大半が冗談として扱われてしまう。 […]

  • 2017.06.11

第1話 気の乗らない依頼

        /真斗  教室内のエアコンが鳴りを潜めてから、約二ヶ月以上が経過して。  窓の外でも眺めてみると、だいぶ秋も深まってきたことが分かる。  そんな風景をぼんやりと眺めていると、机の上の携帯電話が慌しく震え出した。まったく誰だ授業中にと内心毒づきながら、俺は気だるげにそれに手を伸ばす。  隣の席では友人が机に突っ伏して寝ている姿が目に入ったが、いつものことだ。  大学の講義というのは随 […]

  • 2017.06.11

序章 ある夜の邂逅

        /由羅  ――今夜二人目の獲物。  彼は、こちらが探すまでもなく現れてくれて。  私を愉しませてくれた。 「それにお楽しみは、あなたでいいし」  そんな台詞が気に障ったのか、彼は激昂して銃の引き金を引く。  私も目が覚めてからしばらくして、そういう武器があることを知った。鉛の銃弾を撃ち出して、まず人間には避けられない速度でもって相手を襲い、殺すための道具。  これがなかなか厄介なも […]

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