「終ノ刻印」カテゴリーアーカイブ

第47話 強襲

     /真斗

 深夜。
 公園にて、俺達は落ち合っていた。

「時間通りだな」
「当たり前だろう」

 身軽な俺とは対照的に、茜はそれなりの荷物を身につけている。
 帰る準備は万端らしい。
 ちなみに俺は、途中まで茜を送り、その後は囮になる予定だ。意味があるかどうかは知らないが、多少の気休めにはなる。

「……確認しておくが、由羅あたりにつけられていないだろうな?」
「大丈夫だろ」

 念には念をということで、一旦茜と大学で別れて以来、自分のマンションには戻っていない。

「それにあいつ、そんな器用なことができる性格じゃないしな。近くにいたら、絶対気づく」

 俺の言葉に、茜は苦笑する。

「確かにな」
「俺よりお前の方はどーなんだよ? 大丈夫なのか?」
「手落ちはない」

 と言い切るが、すでに何度かイリスに掴まっている前科があるのだ。
 いかに茜とはいえ、相手が相手だし、完全に信用するわけにもいかない。

「どうだ?」

 俺は背後へと視線を送って、闇に声をかける。
 返事はあった。
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第46話 国外脱出計画

     /真斗

「だからね。明日あたりがあぶないと思うの」
「うんうん。私もそう思う」

 昼下がり。
 柴城興信所内のテーブルに座り、何やら熱心に話す少女が二人。
 淡い金髪と濃い金髪で彩られた二人組の少女は、はっきりいって日本でお目にかかれるような人種の人間ではない。
 いや人間かどーかも怪しいけど。
 とにかく、あまり日本人っぽくないその二人は、さっきからずっとああやって、あれこれと作戦を練っているようだった。
 何というか、日常的な光景だったりする。
 俺は欠伸を交えつつ、それをぼんやりと眺めていた。
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第45話 優雅な午後のひととき

     /アルティージェ

「ご苦労様だったわ」

 昼下がり。
 ようやく訪れてくれたその相手は、まずそう労ってくれた。

「あれで良かったの?」

 悪いとは言わせない、とそんな感情をちょっと込めて、聞いてみる。
 わたしの前に座る銀髪の少女は、微笑んで頷いてくれた。

「そう?」
「ええ……。姉さんも、これで少しは変われると思うわ」

 そう言って、レネスティアはわたしの出した紅茶に口をつけた。
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第44話 最強の王②

「く――――あ……」

 全てが収まった時、全身を打つ苦痛に俺は顔をしかめていた。
 もうどこが痛いのかすら分からないくらいに、激痛が全身を巡っている。
 俺に限らず黎も由羅も、吹き飛ばされている。

「…………!?」

 ハッとなった。
 エクセリア――――あいつは!?
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第43話 最強の王①

     /真斗

 暗闇に、火花が散る。
 最大限の気迫を込めて、斬撃を打ち込んでいく。
 蒼い軌跡を描いて打ち込まれるそれを、一振りたりともかわすことなく、アルティージェはその槍剣で受けていた。
 どれもが重い一撃に違いないというのに、乱れることなくそれを受けていく。

「は――!!!」

 ギィンッ! ガギッ!

 剣戟が響く。
 今の俺の力は尋常ではない。
 エクセリアの借り物とはいえ、由羅にだって充分に対抗できる力がある。
 その一撃は、岩をも砕くだろう。
 しかし、その長い剣を砕くには至らない。
 ――剣の扱いに関して、その他の武器と共に、俺は幼い頃から修練を積んでいる。咒法の苦手な俺にとって、むしろ武器の扱いの方が得意分野だ。
 もっともその携帯性から、俺は銃やせいぜい短剣程度のものまでしか利用はしていなかった。
 しかし扱えないわけではない。
 呼吸に関しては、どれも同じだ。
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