カテゴリー:終ノ刻印Ⅱ

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  • 2017.07.14

第35話 子守唄

     /真斗 「――あれが、結果か」  早朝になってやってきた茜は、何の感慨もないかのように、ただそうとだけ言った。 「ああ」  俺の気の無い返事に、ため息が聞こえてくる。 「一応、結界は強化しておいた。しばらくはもつだろう」 「すまない」 「お前……少しは寝たのか?」  呆れたようにこちらを見る茜に、俺は苦笑して首を横に振った。 「そんな気分じゃなくてさ」

  • 2017.07.13

第34話 最初の決着

     /真斗 「お前……」  それは一瞬だったので、はっきりと見たわけではなかった。  今こうして見るエクセリアは、これまでと何ら変わらない。  けれどさっき、こいつは泣きそうな顔をしていた。いや、泣いていたのかもしれない……。 「……どうしたんだよ。えらくしょげた顔して」 「…………」 「だから……」  黙ってしまったエクセリアを前に、俺は半ば途方に暮れていた。  今のエクセリアは外見そのま […]

  • 2017.07.12

第33話 アルティージェと名乗りし

「……?」  さも当然のように、そいつはそこにいた。  俺の知らない顔。  淡くて長い髪をした女――いや、少女というべき年齢だろう。  細い顎をつんと反らして、どこか見下すようにこちらを見ている。――いや、俺ではなくエクセリアを。 「なぜ……そなたがここに」  僅かなりとも驚いた様子で、エクセリアが小さく口を動かす。  顔見知りか……?

  • 2017.07.11

第32話 糸口

「――――?」  思わず声のした方向を振り向いた途端―― 「おわっ!?」  何かに体当たりされた。  いや、抱きつかれたのだ。 「おまっ……由羅――!?」  俺は驚いて、抱きついてきた奴の名前を口にした。  ふわりとした淡い金髪が、視界一杯に広がっている。  間違いなく、あいつの髪。 「お願い……私と来て!」 「お前、いきなり……」

  • 2017.07.10

第31話 たまさかの逢瀬というには③

「はー……疲れた」  目的の所までやってきた俺は、手摺にもたれかかって遠くを見る。  ここはまだまだ途中の場所だが、視界が開けていて、京都の町並みを遠くまで見渡せる。  個人的に気に入っている場所だ。 「どうだ? けっこう見晴らしがいいだろ?」 「そうね……」

  • 2017.07.09

第30話 たまさかの逢瀬というには②

 というわけで。  俺たちがやって来たのは、大学よりもさらに北にある、上賀茂神社。  ここには開けた場所があって、まあちょっとしたピクニック気分になれる。  人も意外に少ないし。 「……こんなところもあるのね」  しみじみと、黎がつぶやく。 「まあな」  頷いて、俺は適当に腰を下ろした。 「北から南に向かって俺の知ってるところを順番に案内してやるよ。スタートは、とりあえずここからってことで。くらま […]

  • 2017.07.08

第29話 たまさかの逢瀬というには①

     /真斗 「――お前」  間違いなくそいつは、昨日俺の前に現れた奴だった。  黎の話からすると、確かエクセリアとかいう名前の……。 「……いきなり何だ?」  じっとこちらを見つめるそいつの表情に少々気圧されながらも、とりあえず口を開いておく。  だがそいつは答えず、ゆっくりとした足取りで俺を眺め歩き出した。  ぐるりと、一周。  ……何か見せ物にでもされたようで、面白くない。

  • 2017.07.07

第28話 生きる為とはいえ

     /由羅 「あ……」  見つけた。  直接彼の家に行く勇気は無くて、ここなら……と思って来てみて。  見つけることができた。  真斗。  うん……元気そう。  ちょっと安心する。  だって真斗、あの時あんなだったから。  よし、行って声をかけよう――そう思って。  一歩踏み出したところで、身体が震えた。  それ以上、歩けなく――ううん、近づけなくなる。

  • 2017.07.06

第27話 ただの妹であったならば

     /黎 「エルオード」  真斗の姿が見えなくなってから、わたしは誰にともなく声をかけた。 「ここに」  当然のように、返事が返ってくる。 「そういうわけだから。あなたはユラの行方を追って」 「……ジュリィは大丈夫なので?」 「き……真斗がいるわ」

  • 2017.07.05

第26話 命の人質

「……なんだって?」  一泊遅れて、俺は聞き返した。  いまいちよく分からんのだが……。 「そうね。簡単には信じられるものではないわね」 「いや、ていうかもう一度――」 「兄、と言ったな。ということは、お前はレイギルア・ミルセナルディス――かつての魔王の、妹だというのか?」  俺なんかはそっち退けで、茜は冷静に確認する。  それに対して最遠寺は頷く。 「とすると、お前は千年だか二千年だか昔から生き […]