「終ノ刻印Ⅱ」カテゴリーアーカイブ

第40話 ディーネスカの紋章

 隣の部屋に移って。
 少し疲れたように、黎は長椅子に腰掛ける。

「お前、本当に大丈夫なのか?」
「だるいけれど、動けないわけじゃないわ」

 少なくとも本調子ってわけではないらしい。当然だろうけど。

「あなたには、色々謝っておきたくて」
「今更かい」
「そうね……今更ね」
「別に責めてるわけじゃねえけどな」
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第39話 及ばないとしても

     /真斗

「目が覚めたのか」

 枕元で、声がする。
 落ち着いた声は茜に似ていたが、もっと静かな声。

「――時間は!?」

 ベッドから身を起こすなり、俺は時計を捜した。
 いったいどれほど眠ってしまったのかと思い、慌てる。

「昼を過ぎたところだ」

 俺が時計を見やると同時に、答えがあった。
 時計の針は、一時を過ぎたところだ。
 どうやらずいぶん眠ってしまっていたらしい。
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第38話 真の刻印

     /茜

 二人を追う。
 追うのは見知らぬ少女と、由羅。
 信じがたいことではあったが、あれは明らかに由羅だった。
 あの封印をどうやって解いたのかは分からない。あんな代物、イリスでもなければどうにもならないと思っていたのに。
 どうやったのかは分からない。
 しかし確実に分かるのは、あの二人に黎がやられたということだ。
 放っておくわけにはいかなかった。
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第37話 エクセリアの答え

     /黎

 夜になって。
 わたしはそっと、その場を訪れていた。
 隣の部屋。
 この事務所を徐々に覆っていく、冷気の源。
 その結界された空間は、すでに凍っていた。
 中心に、氷漬けにされた妹の姿がある。
 やはり、その身に剣を受けて。
 その姿はこれまで幾度と無く見てきた。
 何も変わってはいない。
 しかし、変わったものもある。
 それはわたしの心境――この子を見る、わたしの気持ちが、違う。
 この憎悪の空間にいても、全くあてられない。
 むなしさでいっぱいだから、だろうか。
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第36話 一縷の望み

     /真斗

「初めて見たな。そういうの」

 部屋に入って。
 エクセリアを寝かしつけるジュリィの姿を、俺はまじまじと見てしまっていた。
 歌っているのが誰かなど分かっていたが、それでもこうやって改めて確認すると、どうにも多少は驚いてしまう。
 そして同時に、気持ち良さそうに目を閉じているエクセリアに対しても。
 何もかも、意外だった。

「似合わないかしら」

 苦笑気味に、黎は言う。

「そうでもないけどな」

 肩をすくめて、俺は黎が寝かされていた方の長椅子に腰掛けた。
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