- 2017.06.12
第3話 少女二人
/由羅 私はいったい誰なのか。 目覚めたものの、ちっとも思い出すことはできなかった。 満天の星空――新月の夜に、星々はよく映える。 周囲には明かりは無く、どこまでも広がる草原と、朽ちかけた古城があるのみだ。 何の障害も無いその場所で、それらを眺めるのが好きな者ならば、恐らくいつまでも見上げていることができただろう。 でも私は、崩れ落ちた古城の瓦礫に隠れるように、身を震わ […]
ibisノベル ライトノベル創作支援研究所
/由羅 私はいったい誰なのか。 目覚めたものの、ちっとも思い出すことはできなかった。 満天の星空――新月の夜に、星々はよく映える。 周囲には明かりは無く、どこまでも広がる草原と、朽ちかけた古城があるのみだ。 何の障害も無いその場所で、それらを眺めるのが好きな者ならば、恐らくいつまでも見上げていることができただろう。 でも私は、崩れ落ちた古城の瓦礫に隠れるように、身を震わ […]
俺が大学に入ってから約八ヶ月。 これまでに受けた仕事は、三件。どれもがまともな内容では無かった。 世の中には色々と不思議なことがあるわけだが、こと日本において魑魅魍魎、妖怪変化というものは、そういった不思議の一つである。 実在するかどうかはともかく、その存在は誰もが知識として知っている。しかし実際にそれらを目撃した者となると少なく、例えそう公言したところで大半が冗談として扱われてしまう。 […]
/真斗 教室内のエアコンが鳴りを潜めてから、約二ヶ月以上が経過して。 窓の外でも眺めてみると、だいぶ秋も深まってきたことが分かる。 そんな風景をぼんやりと眺めていると、机の上の携帯電話が慌しく震え出した。まったく誰だ授業中にと内心毒づきながら、俺は気だるげにそれに手を伸ばす。 隣の席では友人が机に突っ伏して寝ている姿が目に入ったが、いつものことだ。 大学の講義というのは随 […]
/由羅 ――今夜二人目の獲物。 彼は、こちらが探すまでもなく現れてくれて。 私を愉しませてくれた。 「それにお楽しみは、あなたでいいし」 そんな台詞が気に障ったのか、彼は激昂して銃の引き金を引く。 私も目が覚めてからしばらくして、そういう武器があることを知った。鉛の銃弾を撃ち出して、まず人間には避けられない速度でもって相手を襲い、殺すための道具。 これがなかなか厄介なも […]