「終ノ刻印Ⅰ」カテゴリーアーカイブ

第23話 約束、もしくは誓約、あるいは呪いか

        /由羅

「…………っ」

 やられた傷が痛む。
 あの刻印ほどの痛みは無いとはいえ、戦っている最中にこれだけの傷の痛みは堪えてしまう。

 かなりの時間、ジュリィと戦って。
 相手もさすがに無傷とはいかなかったけど、私の方はもっと深刻だった。
 この身体はほとんどの干渉に対して不死だけど、無敵というわけではないから。傷つけられもするし、痛みもする。
 何度か狙撃を受けて、身体はかなりの損傷を受けていた。
 何とかそれから逃れようとしたけど、ジュリィに追われているせいもあって、簡単にはいかず。
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第22話 愚かだとしても

        /真斗

 夜になって。
 昼間には全く手がかりすら得られなかったというのに、この時間になってあっさりと見つけてしまった。
 まあ……あれだけ派手に動いていれば、嫌でも気づいてしまうか。
 二人の戦いはすでに始まっていたが、住宅街を移動しながらで、しかも静かだったせいもあって、全くといっていいほど騒ぎにはなっていなかった。
 けれど、気づくものなら気づいただろう。
 俺のように。
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第21話 一途で愚かなこと

        /由羅

 都合良くといえば、確かにそうかもしれない。
 私は目覚めてからこれまで、綺麗にそれ以前のことを忘却していた。
 あれからどのくらいたったのかは分からなかったけど、それでもきっと長い長い眠りだったのだろう。
 だって、私が覚えている世界と、今の世界とではずいぶんと違ってしまっているから。

 そこで、苦笑。
 これじゃあ同じだ。
 前回目覚めた時も、今と同じ印象を世界に対して持った。
 ずいぶん変わってしまっていて……覚えていたあの人はもういなくて。
 狂ってしまったのだ。
 何の覚悟も無く千年もの歳月を越えれば、そんなものかもしれない。
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第20話 少女と記憶と

        /真斗

 今日はとうとう目覚ましが鳴らなくなった。
 針はしっかりと動いているところを見ると、その程度にはまだ電池は残っているらしい。
 まあおかげさまで、授業には完全に遅刻してしまいそうだが。

「まあ……いいか」

 俺は布団の中で、ぼんやりとした頭のままつぶやいた。
 授業、か。行った方がいいんだろうけど、今日はどうにも行く気になれない。
 寝過ごしたばかりが原因でないことくらい、分かっている。
 俺はもぞもぞと布団から這い出すと、適当に服を着替え、外へと出た。
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第19話 覚えのない真実

        /真斗

 信じられないくらい、最遠寺は速かった。
 咒法には、自分の身体能力を一時的に高めたり、また恒常的に高くしておくことのできるものがあるらしい。
 しかしそんなものを自分にかけているような咒法士など、限られている。よほど咒法の知識に精通し、また戦いというものを日常に位置付けている連中。
 俺は何とか後を追いながらも、どうやら最遠寺が誰かの後を追いかけているらしいことに気づく。
 俺にも何度か見えたからだ。
 夜空を舞う、二つの人影が。
 そいつらが地面に降り立ったその場所へと、迷わず駆けていく最遠寺。
 そして。
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